ベアフラッグ

ベア(下降)フラッグは、下降トレンドの延長を想定するコンティニュエーション(継続)のチャートパターンです。強い下降トレンドの後、値動きは下降トレンドとは反対方向を示す2本の平行なトレンドラインの中で横ばいとなります。サポートラインを突破すると、値動きは下降を続け、ベアフラッグ・パターンが作動します。  

ここでは、ベアフラッグとは何か、その構造や、長所・短所について見ていきます。さらに、ベアフラッグ状況で取引して利益を上げるための取引戦略もご紹介します。
 

ベアフラッグが教えてくれること 

ブルフラッグと同様、ベアフラッグも旗竿と旗で構成されています。 

新安値が形成されると、売り手が一息つく間に、価格がリバウンドして上昇し始めます。ウェッジやトライアングルの形で保ち合いとなるベアペナントとは異なり、ベアフラッグは平行チャネル内で保ち合いとなります。  ベアフラッグ・パターンの構造

買い手は保ち合いを利用して、値動きを支配している売り手の勢いを弱めようとします。一方、弱気筋(この先下落するという考え方の投資家)は一歩下がって直近の上昇を強化し、次の下押しに備えます。  

この保ち合いはあまり高くならないと言われています。下降トレンドの強さに応じて、反発が急になることもあれば、緩やかになることもあります。一般的には、反発は旗竿の50%フィボナッチリトレースメント以上にはならない傾向にあります。  

例として、反発は38.2%フィボナッチリトレースメント付近で終了するでしょう。反発が短ければ短いほど、下降トレンドは強く、ブレイクアウトも強くなるとが予想されます。 

次の3つの要素は、弱気のフラッグが発生する上で不可欠な条件です。 

  • 旗竿 -下降トレンドが発生している。 
  • 旗 - 上昇トレンドにある2本の平行なトレンドラインの間で保ち合いとなる。 
  • ブレイクアウト - サポートラインをブレイクすると、このパターンは有効になる。
     

長所と短所

ベアフラッグは下降トレンドを継続するコンティニュエーション・パターンです。ベアフラッグは、トレーダーが、下降トレンドが現在どのような段階にあるのかを見極める上で役に立ちます。  

より正確にいうと、売り方が圧力を強めるにつれ、このフラッグが、保ち合い局面が終了したかどうかを教えてくれます。下の例でわかるように、いったんブレイクアウトが生じれば、市場に参入する水準が正確に確認できるようになります。 

一般的に、ベアフラッグは強力なテクニカルパターンであると考えられています。特に、リトレースメントが38.2%程度で終了し、ベアフラッグ・パターンが形成された場合には、その傾向が強くなります。したがって、このパターンの最大の利点は、非常に魅力的なリスク・リターン比率が得られることです。 

短所は、保ち合い局面で、トレンドの方向性が変わる可能性があるという点です。売り手は、保ち合い局面が長引くことで勢いを失い、買い手は、現在は保ち合い局面ではなく、むしろリバーサルであるとの想定する可能性があります。  

そのため、長くて不安定な保ち合い局面を持つフラッグや、50%よりも高い水準にまで拡大したフラッグでは、取引しないことをお勧めします。 
 

ベアフラッグ型チャートパターンを見つける 

ベアフラッグを見つけるには、まず、下降トレンドを探します。次に、修正の度合いを見ながら、上昇チャネル内で反発が生じていることを確認します。  

ユーロ/米ドルは強い下降トレンドの中で低下しましたが、その後、穏やかな反発が始まりました。この反発は、最初の下げの強さを考えると短かったのですが、それでも、2本の平行線の中で値動きがまとまり、その後、弱気筋が主導権を取り戻しました。ローソク足チャートにベアフラッグ

このケースでは、反発は、最初のフィボナッチ・リトレースメント の水準である23.6%にさえ届かず、売り方が押し下げに成功しました。このように通常は、全体的な下降トレンドが、反発の力とペースをコントロールします。
 

ベアフラッグ・パターンでの取引 

弱気のフラッグで取引するプロセスは、他のローソク足パターンで取引する場合に適用する原則と同じです。フラッグを発見したら、サポートとして機能しているトレンドラインを突破するかどうかを見極めるため、待機します。 

多くのトレーダーは、市場への参入を焦り、実際にブレイクアウトが起こる前に注文を入れてしまうことがよくあります。したがって、ブレイクアウトが起きて初めてパターンが「有効」になるということを忘れないでください。  

この例では、ブレイクアウトが発生した後、エントリーに対する標準的な選択肢が2つ提示されています。1つ目の選択肢は、ブレイクアウトしたローソク足がフラッグを下回る水準で引けた場合にすぐに取引を開始することです。  

一方、最終的には、値動きが戻り、ブレイクしたチャネルを再び試すまで待つ場合もあります。この選択肢は、エントリーがより高い価格で行われるため、リスク・リターン比率はより有利になります。逆に、最初の選択肢は、スローバックが必ず生じるという保証はないため、取引チャンスを逃さずに済みます。 ローソク足チャートにベアフラッグの分析

1つ目の選択肢を選んだとします。ブレイクアウトしたローソクが下側のトレンドラインを下回る水準で引けた後に、売り取引を開始します。逆指値は、エントリーから約20pips高い水準の、チャネルライン(トレンドラインの反対に平行に引いたライン)の領域内に設定します。ブルフラッグと同様、フラッグの内側に移動すると、ベアフラッグ・パターンは無効になります。  

指値水準は、旗竿の長さを測定して算出します。トレンドラインをコピー&ペーストします。起点は、ブレイクアウトが発生したポイントで、終点はうまくいくと、利益確定を検討すべき水準になります。  

最終的に指値注文がヒットし、約85pipsの利益が得られました。20pipsのリスクと比較すると、これは非常に魅力的なリスク・リターン比率です。2つ目の選択肢を選んだ場合は、5pips多く得られ、リスクは同じpips数だけ少なくなります。