ADXとは?

ADX(平均方向性指数)は、トレンドの強さを測る際に役立ちます。 

ADXは、現在拡大している価格レンジの平均値を表します。価格グラフの下にある別の短いウィンドウに、いくつかのレベルで上下に動くラインが表示されるのが特徴で、価格の動きの強さを表しています。 

ADXは、必ずしも動きの方向性を示すわけではありません。  

つまり、純粋な強さをシンプルな尺度で測ることができる指標になります。 
 

ADXの計算 

ADXの計算は、過去14本のローソク足、またはあなたが選択した任意の期間における価格の拡大幅の移動平均に基づいて行われます。 

いくつかの一般的なガイドラインがあります。 

  • 25以下:トレンドが弱い、またはトレンドが全くない 
  • 25~50:強いトレンド 
  • 50から75の間:とても強いトレンド 
  • 75から100の間:極端に強いトレンド 

この数値を見ることにより、トレンドが確立されているかどうか、またセットアップすることに意味があるかどうかを確認することができます。 

ADXは通常、二次的な指標として利用されますが、比較的高い数値を示している間に有利なローソク足を設定した場合、あなたにとって有利な展開となる確率が高まります。 

ADXが相対的に低い値を示している場合は、一般的に保ち合い相場で、次のトレンドを形成するまでの間の時間稼ぎであることを意味しています。 

下のチャートを見てみましょう。 

ブレイクアウトへの強い勢い


丸で囲った部分で急上昇する前に、市場は比較的低い値を示していたことに注目してください。 

相場が直近のレジスタンスラインを上に抜けて強気のローソク足を3本続けて形成していましたが、同時にADXも強かったことがわかります。 

その少し前までは、ADX値が比較的軟調で、相場はやや横ばいで推移していました。 
 

ADXの使用 

 FX取引でADXを使用する最大の利点は、トレーダーがちょうどいいと感じる設定よりも、はるかに大胆な設定を行なうことができる点です。 

例えば、下のチャートを見ると、カナダドル/スイスフランの通貨ペアでは、極めてネガティブなローソク足が確認できます。 

そのエントリー・シグナルは簡単に得ることができましたが、その後のいくつかのローソク足の動きは非常にぎこちなく、多くの人が少し神経質になっていた可能性があります。 

しかし、ADXに注目していれば、ADXが上昇し続けていることに気がついたはずです。これまでのネガティブなトレンドが勢いを失っているどころか、むしろ勢いを増していることを示しています。 

ADXのトレーダーは、かなり長い間このトレードにとどまり、その後続いた大規模な暴落で大きな利益を得たことでしょう。 ローソク足チャートにとても長いネガティブなローソク足が形成

別の例を挙げてみましょう。 

これは、ADXが伝統的なローソク足分析とどのように併用できるかを示す例です。 

この市場では、注目を集めそうなとても長いネガティブなローソク足が形成されました。 

この指標を使用していなかった一般的なトレーダーは、トレードを早々に切り上げた可能性が高いと考えられます。 

しかし、その後市場がさらにブレイクダウンしたときも、ADXは上昇し続けていることに注目してください。これはネガティブなトレンドが勢いを増すことを示唆しています。 

結果的に、ADXは再び低下し始めました。これは、トレーダーにトレンドが息切れしていることを知らせています。 

このように、ADXは取引を継続するのに適した指標であるだけでなく、逆指値注文(ストップロス)の設定幅の決定することにも役立ち、当初の取引条件が薄れてきたときに取引を離れるタイミングを知らせてくれるシグナルとしても機能することがわかります。 
 

ウォーニングとダイバージェンス 

ADXは、ダイバージェンスを探すときにも活躍します。 

ADXは他の多くの指標とは異なり、市場が逆に取引される可能性があることを示唆するだけでなく、トレンドが終了しようとしていることも示すことができます。 

つまり、この指標を適切に利用すれば、利益をより多く残すことができるということです。 

この背景にあるのはモメンタム(相場の勢い)の観点です。例えば、価格がこれまでの強いトレンドから落ち着きを取り戻し始めている、といった状況も読み取ることができます。 

多くのトレーダーは、ローソク足、サポートラインとレジスタンスラインをどこでブレイクするのかや、移動平均線などを見てエントリーやエグジットを判断します。しかし、注意すべき大きな要因の1つにモメンタムがあることを理解していないトレーダーも多いです。 

資産がゆっくりと動いている場合、その通貨ペアはある程度公正に評価されているか、少なくとも価格に関してはそれほどバランスを崩していないことを表しています。しかし、勢いよく上昇している場合は、価格が、需要と供給のバランスが取れる水準にどうにか到達しようとしていることを意味しています。 

下のチャートでは、青い矢印と赤い矢印に注目してください。ローソク足チャートに大きなローソク足が現れの後、市場が水平になって減速し始めています

青い矢印のところには、大きなローソク足が現れ、同時ADXも上昇し始めているため、トレーダーはこれを買いシグナルとして捉えることができます。これは、市場がブレイクアウトしているように見えることだけでなく、勢いが増していることも示しています。 

その後、赤い矢印のところでは、市場が水平になって減速し始めていますが、ADXも方向転換し始めました。 

ADXが、保ち合い局面で上昇トレンドを継続しようとはしていないという絵を描き始めたため、 ADX を使ったトレーダーは、一般的なトレーダーよりも多くの利益を得て退場したことでしょう。 

別のチャートも見てみましょう。 ローソク足チャートにしばらくの間価格は上昇していましたが、ADX の測定値はロウワー・ハイを記録し続けていました

ダイバージェンスとは、価格トレンドとオシレーター系指標の逆行現象のことです。価格がある方向に動いていて、モメンタムが別の方向に動いている状態を指します。通常、トレーダーはオシレーター系指標を使用してダイバージェンスの発生を発見しますが、ADX指標ではこのような状況で取引を行わないためのサインとして利用することができます。 

上のチャートは、豪ドル/ニュージーランドドルのペアです。しばらくの間価格は上昇していましたが、ADX の測定値はロウワー・ハイを記録し続けていました。つまり、モメンタムは一進一退しながら下降しているため、価格が上昇を続ける可能性があまり高くないことを示唆しています。 

ADXを使っている人なら、この上昇局面ではあまり手を出さないほうがいいということが分かることでしょう。この動きが出た直後、市場はすぐに下降しました。つまり、ADXがトレーダーが不利な取引に手を出さないようにするために活躍したということです。しかし、ダイバージェンスは通常、一部のオシレーター系指標とは異なり警告として利用されるものであるため、取引シグナルになるとは限りません。