ウォーニングとダイバージェンス
ADXは、ダイバージェンスを探すときにも活躍します。
ADXは他の多くの指標とは異なり、市場が逆に取引される可能性があることを示唆するだけでなく、トレンドが終了しようとしていることも示すことができます。
つまり、この指標を適切に利用すれば、利益をより多く残すことができるということです。
この背景にあるのはモメンタム(相場の勢い)の観点です。例えば、価格がこれまでの強いトレンドから落ち着きを取り戻し始めている、といった状況も読み取ることができます。
多くのトレーダーは、ローソク足、サポートラインとレジスタンスラインをどこでブレイクするのかや、移動平均線などを見てエントリーやエグジットを判断します。しかし、注意すべき大きな要因の1つにモメンタムがあることを理解していないトレーダーも多いです。
資産がゆっくりと動いている場合、その通貨ペアはある程度公正に評価されているか、少なくとも価格に関してはそれほどバランスを崩していないことを表しています。しかし、勢いよく上昇している場合は、価格が、需要と供給のバランスが取れる水準にどうにか到達しようとしていることを意味しています。
下のチャートでは、青い矢印と赤い矢印に注目してください。
青い矢印のところには、大きなローソク足が現れ、同時ADXも上昇し始めているため、トレーダーはこれを買いシグナルとして捉えることができます。これは、市場がブレイクアウトしているように見えることだけでなく、勢いが増していることも示しています。
その後、赤い矢印のところでは、市場が水平になって減速し始めていますが、ADXも方向転換し始めました。
ADXが、保ち合い局面で上昇トレンドを継続しようとはしていないという絵を描き始めたため、 ADX を使ったトレーダーは、一般的なトレーダーよりも多くの利益を得て退場したことでしょう。
別のチャートも見てみましょう。
ダイバージェンスとは、価格トレンドとオシレーター系指標の逆行現象のことです。価格がある方向に動いていて、モメンタムが別の方向に動いている状態を指します。通常、トレーダーはオシレーター系指標を使用してダイバージェンスの発生を発見しますが、ADX指標ではこのような状況で取引を行わないためのサインとして利用することができます。
上のチャートは、豪ドル/ニュージーランドドルのペアです。しばらくの間価格は上昇していましたが、ADX の測定値はロウワー・ハイを記録し続けていました。つまり、モメンタムは一進一退しながら下降しているため、価格が上昇を続ける可能性があまり高くないことを示唆しています。
ADXを使っている人なら、この上昇局面ではあまり手を出さないほうがいいということが分かることでしょう。この動きが出た直後、市場はすぐに下降しました。つまり、ADXがトレーダーが不利な取引に手を出さないようにするために活躍したということです。しかし、ダイバージェンスは通常、一部のオシレーター系指標とは異なり警告として利用されるものであるため、取引シグナルになるとは限りません。