パラボリックSARにとは?

パラボリックSARは、「パラボリック・ストップ・アンド・リバース」とも呼ばれ、短期トレーダー向けの一般的な指標ですが、長期トレーダーも利用することができます。    

この指標は、他の多くの指標とは少し異なり、常に市場にいることを目的としていますが、トレーダーの都合に合わせて利用することもできます。 

パラボリックSARは、資産の価格の方向性に着目し、市場の方向性の変化を素早く察知することができます。パラボリックSARは、RSI(相対力指数)を開発した J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニアによって開発されました。開発者の知名度が高いこともあり、この指標は比較的早く市場に受け入れられました。 
 

パラボリックSAR の読み方 

パラボリックSARは、短期トレンドの方向性を示すドットをチャート上にプロットします。ドットがローソク足の下にあるときは、その下に買い圧力があり、市場を押し上げていることを示唆しています。これらのドットが連続している場合、トレーダーはドットがない場合に比べてより長くトレンドに関わることになります。  

この指標は、市場がどの方向に動いているかを教えてくれるだけでなく、逆指値注文(ストップロス)をどこに設定するかも教えてくれます。基本的に逆指値はドットの位置に置かれますが、それがヒットした場合、ドットの位置が入れ替わり、全体のトレンドが変わってきます。例えば、ドットがローソク足の下にある場合、新しいドットが表示されるたびに動く逆指値を伴った買い手となります。最終的に、市場がその逆指値にヒットすると、指標の方向が反転し、トレーダーに取引方向の切り替えを示します。 チャート上のパラボリックSAR

この指標にはトレンド系であることなど、いくつか注意すべき点があります。また、逆指値の幅が少し広いので、この指標を扱う場合は短期のチャートの方が容易で、効果的に使うことができます。実際、多くのトレーダーは短期で使っています。  

次は、15分足のGBP/AUDペアのチャートを見てみましょう。途中でいくつか小さな動きは見られるものの、うまくいく取引は非常に爆発的であることが分かります。 

チャートを見ると、市場がかなり大きく上昇した後、少し揺さぶられ、再び上昇したことがわかります。言い換えれば、数回それなりの利益は得られたものの、2回非常に小さな損失は被ったということです。チャートの高値からのロールオーバーは絶好の売り場でしたが、その後、比較的フラットな市場では、逆指値注文が発動するまで、おそらくトレーダーにとって不利な動きが何度か見られます。つまり、この指標をレンジ相場で使うべきではないということです。パラボリックSARのシグナル

しかし、この指標の大きな利点は、完全に機械的であるという点です。そのため、逆指値の位置がわかり、抜け出すタイミングがわかります。アルゴリズム取引が普及する以前から存在しているため、ある意味ではアルゴリズムだと考えられますが、以前はトレーダー自身が計算していました。  

パラボリックSARの問題点の多くは、いくつかのポイントを押さえることで解消されることがあります。結局のところ、市場は非常にノイズが多い傾向にあり、ほとんどの場合、一方向に動く傾向があります。もちろん、時折戻すこともありますが、全体的なトレンドは戻しよりもずっと長く続く傾向があり、したがって、ほとんどの収益はトレンドにしがみついていれば手に入ることになります。パラボリックSARは、このようなシナリオにおいて威力を発揮します。 パラボリックSARと50日SMA

その後、市場は50日単純移動平均(SMA)を突破し、パラボリックSARのドットが50日指数移動平均(EMA)を上回る水準に表示された時点で、この2つの指標を使っているトレーダーは買いに入ったことでしょう。このトレードはかなり長く続いた後、再び50日SMAに向かって引き戻されたことがわかります。これはロングのチャンスであり、指標がすべてのドットを点滅させたら、トレーダーは買い手になっていたでしょう。 

この指標は、大きく上昇した時と同様、50日SMAを超える前に売りシグナルを点滅させ始めました。これは再び売りを開始すべきであると示しています。ご覧の通り、この組み合わせは非常に有効です。しかし、一般的にパラボリックSARに連動する移動平均線は、より長期的なチャートで効果を発揮する傾向があり、パラボリックSAR自体はより短い時間軸で効果を発揮するため、ハイブリッドなシステムと言えます。移動平均線を追加すると、少なくとも長い時間枠では、さらにノイズを除去できて信頼性が高くなるようです。 
 

パラボリックSARを長期的に使用するためにチャートに移動平均線を追加する 

移動平均線をチャートに追加すれば、全体のトレンドを把握することができます。パラボリックSARと一緒に使えば、潜在的な損失を回避するのに役立ちます。例えば、AUD/NZDの日足チャートで、上のチャートの最初にあるいくつかの赤い矢印を見てみましょう。 

赤い矢印は、市場が50日SAMを下抜けしたことを示していますが、これにより全体的なトレンドを判断することができます。パラボリックSARが売りシグナルを出しており、ドットが移動平均線の周辺に位置していることから、これは絶好の空売りの機会となります。
 

システムとして設計されているが、それだけでは使えない 

この指標は、もともと1つのシステムとして設計されていますが、結局のところすべてを網羅しているわけではありません。ある指標がそれだけで信頼性の高いトレーディングシステムを提供することは非常に稀であり、パラボリックSARも例外ではありません。 

この指標が非常に有用であることは明らかですが、ちょっとした工夫が必要です。パラボリックSARは、前述のように移動平均線と組み合わせて使うこともできますが、中には、流れ星や抱き線ローソク足のような特定のローソク足パターンが現れたときにのみ、この指標を使うトレーダーもいます。 

とはいえ、非常に変動の激しい市場では、反応する時間がないため、この指標の性能はそれほど高くありません。あなたが期待しているのは、どちらかの方向に安定したトレンドを示している状況で、それを利用することです。最終的には、市場の状況によって使用すべきツールを決定します。 

パラボリックSARは、次の事柄を示すという点において有用です。  

  • 全体のトレンド 
  • 逆指値をどこに設定するか 
  • 方向転換のタイミング   

パラボリックSARには以下のような限界があります。  

  • トレンドが必要 
  • 横ばい市場では損失につながる  

つまり、最初はデモトレードを行なって、この指標が長期的な取引に適しているかどうか、あるいは短期的な取引に使用すべきかどうかを判断すべきです。指標は、最初に設計された通りに使用する必要はなく、あくまでも道具箱の中のツールであることを忘れないでください。プロのトレーダーが指標を全く新しい方法で使用することはよくあることで、あなたもこの指標の設定や環境をいろいろ試してみるといいでしょう。