フラクタル指標を使った取引
この指標をチャートに表示すると、フラクタルが形成されたときに矢印のようなマークが表示されます。フラクタルが出現したら、相場が反転し、フラクタルに合致する方向に向かうのではなく、フラクタルに逆らう方向に向かいます。それはとても理にかなったことですが、以前の反転領域が突破されたのであれば、それは明らかに市場がどちらかの方向に力強さを示していることになります。
例えば、ローソク足を上回る水準にフラクタルが形成された場合、その後、相場が反転してその水準を上回れば、ある程度の抵抗を突破したことになります。前回価格が反転を起こした場所なので、なおさらです。もちろん、安値で跳ね返されて形成されたフラクタルについても同じことが言えます。もし市場がそこを下に抜けたら、明らかに弱気の圧力が強まったことになります。
これを簡単に説明するために、下のチャートを見てみましょう。このチャートにはいくつかの青い矢印が表示されていますが、そのうちの1本はチャート上に印刷されたフラクタルを指しており、もう1本の青い矢印はそのフラクタルを上方突破したローソク足を指しています。これは典型的なフラクタルが示す強気のシグナルです。考えてみると、最近の高値である5本のローソク足を上方突破したことで、強さが拡大したことを示しているというのは、非常に理にかなっています。

なお、トレンドラインを見つけるために、フラクタルを使う人もいます。つまり、平均的なトレンドラインは、単純に高値と安値を探して、上昇か下降のどちらかに向かってつなげるものですが、フラクタルをつなげてトレンドラインを引くトレーダーもいるのです。
フラクタルが5本のローソク足のうち最も高い(低い)位置にあることに基づくと、フラクタルの矢印をつなぐことは、市場が注目しているエリアをつなげることになります。
下のチャートを見ると、EUR/JPYペアが下降中にいくつかのフラクタルを形成していることがわかります。ローソク足をフラクタルの矢印で結ぶと、市場が注目していると思われる整然としたトレンドラインが形成されます。重要な反転レベルに基づいたトレンドラインを探しているなら、この指標は非常に便利です。

フラクタルのもう1つの一般的な使い方は、トレンドを確認することです。例えば、市場が強い上昇トレンドにある場合、下降局面よりも上昇局面でフラクタルを突破することが多くなります。また、前のフラクタルを突破できない場合は、市場が保ち合い状態にある、すなわちトレンドを変える準備をしていることを示唆しています。問題は、市場が反転して反対方向のフラクタルを突破するかどうかです。その場合はその時点で、トレンドが転回する可能性が高いからです。
下のEUR/JPYのチャートを見てみましょう。市場は非常に細かな動きで上昇しており、ご覧のようにフラクタルがかなり立て込んできました。上昇トレンドラインが下方突破されているのがわかりますが、このときの状況に注目してみましょう。下側にある3つのフラクタルは上昇を続けており、短期的なトレンドを定義するためにここに上昇トレンドラインを引くことができます。
上側にある最初のフラクタルの後に、高めのフラクタルが現われたことに注目してください。このフラクタルを上抜けすることができず、全体的なトレンドを継続できなかったことが、反転の最初の兆候でした。そして、保ち合い局面はあったものの、市場は上昇トレンドラインを下方突破し、そのトレンドラインを抜けた最初のローソク足では、トレンドライン上に最後のフラクタルを形成した弱気のフラクタルまで抜けてしまいました。つまり、この時点では売りを考える理由がいくつかあったのです。ご覧のように、その後、市場はかなり大きくブレイクダウンしました。
